(8)シャクヤク

原産地 中国 シベリア 朝鮮

茎の頂上に盛り上がるように白・紅・桃色の花が7月頃に咲く。寒さに強い多年草で、花畑では派手で目立ち、花畑を引き立てる花一つである。

日本では200年も前から栽培されている花の一つで、園芸種が多く約1000の品種があるといわれている。

一般的に一重咲きが多いのは和シャクといわれ、大輪の八重咲きは洋シャクヤクといわれている。洋シャクヤクは花が咲くのが遅い晩生種が多い。
 
育て方

土は普通の花畑の土でもよいが、火山灰の土には堆肥などの有機物を多く混ぜ、土を肥やして植えた方がよい。

増やし方は株分けをする。9月中旬頃がよい。遅くなると根が傷みやすくなる。春には移植しないようにする。シャクヤクの根は太くて長いので、移植の時は大きめに、ていねいに掘り上げ、掘り上げたらていねいにに土を落として芽を3つか4つ位つけて株分けするが、分け方はナイフで切る方がよい。

植え方は根が長いので、根がすっぽり穴にはいるように深く、大きく掘り、堆肥や台所から出る野菜や魚などのくずをたくさん入れて踏み、土を少し入れて芽の上5p位土がかかるように植える。
 図


肥料は春に芽が出たら、株の根元に油粕、骨粉を2〜3握りほど入れ、7月までに月2回位は入れるようにする。肥料が不足すると花が小さく、少なくなり株も大きくならない。

株分けで増やすときは、3〜4年に一度程度でよい。

シャクヤクは、植えた次の年とそのあと1年か2年は花が咲いたが、そのあとはさっぱり花が咲かないとよく聞かれる。このように花が咲かなくなった原因の一つは株分けをしないことにある。何年も株分けをしないでいると花の数が増え、株が大きくなりすぎて肥料分が不足するためである。また、根元に日が当たらなくなってしまい、花芽が出なくなったと考えられる。株が大きくなったら株分けが必要である。また、夏の終わりに葉が枯れてなくなることがある。夏の終わりなのに葉がないため、花芽が出られなくなってしまうのである。葉の枯れる原因は病気である。斑葉病、褐斑病、炭疽病などの病気なので、ペンレート・ジマンダイセン・マンネブダイセン・トップジンなどの薬を6月〜8月に月3回かけておくとよい。また、小さな蕾はついたが、落ちてしまうことがある。これは蕾がポトリチス病という病気で落ちてしまったと考えられる。蕾が落ちてしまったからではどうしようもない。葉が枯れる病気と同じなので同じ薬かキャプタインという薬を予防として蕾ができる前から散布しておいた方が安全である。

 
(9)ヒナギク(トキシラズ)

原産地 地中海沿岸  ヨーロッパ

細長く伸びた花柄の頂上に1つだけしか花がつかないが、1株から次々と花柄が出て白、赤、桃色のキクのような小さな花が多数咲き、春の花畑(庭)にはぜひ欲しい、寒さに強い多年草である。

育て方

日当たりを好むが、半日陰でも育つ。

土は水はけのよい火山灰土か砂地などがよいが、特に選ばない。花畑の縁取りなどに利用されるが、プランターや鉢植えなどでもよい。

増やし方は、春に花が咲いている株を買って、植える場所をよく耕し、15p〜20p間隔で植えるとよい。成育中に油粕、骨粉をやるとよい。

この花は、寒さに強く10度〜15度Cでよく育つ。30度C以上になると弱るので、寒い標津では育ちやすい花の一つである。

花は、春から秋まで咲き、自然に種が飛んで芽を出して育つが、花は小さくなる。

移植は2年に1回、春芽が出始めた頃にするとよい。

(10)ハナショウブ

原産地 日本

紅、紫、藍、桃、白色など豪華であでやかな大輪の花が花柄の頂きに咲く夏を代表する花の一つである。

寒さに強い多年草で、ぜひ花畑に欲しい花である。雨に当たると花びらが傷む。切り花にするときは、花の咲き始めか蕾の時にした方がよい。咲いてから切り花にすると長持ちしない。

ハナショウブは標津の湿原などに自生しているノハンショウブを園芸種に改良したものである。

育て方

日当たりと湿気を好むが、ひどく乾燥したところでなければ普通の花畑でよい。

土は、砂と粘土が混じったような重い土がよいが、火山灰の土でも堆肥などの有機物をたくさん入れて、土を肥やして育てれば十分いい花を咲かせてくれる。

肥料は、成育中に肥料を欲しがるので油粕と骨粉を半々くらいに混ぜたものを5月下旬頃に与えるとよい。肥料が不足すると花数も少なくなり、花も小さくなる。

増やし方は、株分けで増やすが、株分けは花が終わってすぐがよい。8月上旬頃根を掘り起こし、土を落として花の咲いていない葉だけのものを3〜5つ位つけ、刃物で根を切って植える。1回花が咲くと、その部分は花が咲かないので植えても無駄である。植え替えは3年目がいいといわれているが、株の大きさを見て植え替えればよい。

 図 


植え替えの時は葉を半分位切ってやると作業がしやすい。浅植がよいので根が土で隠れる程度に植える。ハナショウブの管理で苦労するのは草取りである。株の中に生えた雑草は取り難いので、なるべく早く雑草の根が大きくならないうちに取るようにする。
 
(11)フクジュソウ

原産地 日本 中国 シベリア

正月を寿ぶくめでたい花である。雪の中で葉茎を伸ばし、雪解けとともに花茎をのばしながら茎の頂きに黄色い花が天を向いて咲く。寒さに強い多年草で、標津では川沿いや原野、丘陵地に自生し、春1番に咲く花で、いまのところいたるところに自生している。

育て方

水分の多い、有機質のたくさんはいっている肥えた土でよく育ち、水はけの悪い湿地や日当たりの良すぎるところ、乾燥するところを嫌うので落葉樹の下に育てるとよい。鉢やプランターなどの容器で育ててもよい。

増やし方は株分けで増やす。9月下旬から10月上旬頃までに株分けをする。移植もこの頃がよい。

株を分けるときは、根が大きいので竹べらかナイフで芽を3〜4つ付けて分けるとよい。土は堅くならないようにするため、腐葉土(ふ葉)、堆肥などの有機物をたくさん入れておかないと、1回植えると3年から4年そのままにしておくので、土が固くなってしまう。

肥料は土さえ肥えていれば特別にやらなくてもよいが、株を大きくしたいときは花の咲く頃から油粕と骨粉を半々にしたものを1株に握り程入れてやるとよい。

茎や葉は夏に枯れて休眠する。

株分けして植えると、新しい芽が冬の寒さに当たると花が咲く。寒さに当てないと花が咲かなかったり、咲いてもいい花は望めない。

(12)タチアオイ(ホリホックス・ハナアオイ)

原産地 中国  

人の背丈以上にも伸び、穂状にたくさんの大きな花が咲く多年草である。しかし、年々草丈が小さくなり、花の咲きも悪くなるので毎年種をまいた方がよい。

花の色は赤、桃、白、紫、黄色などがあり、八重咲きもある。

育て方

種から育てるが、種は5月中旬〜下旬頃直接畑にまくか、箱などにまく。箱にまいたときは本葉5〜6枚になったら一度畑に移植し、そのまま育ててもよいが8月中旬〜下旬頃、もう一度植え替えて育ててもよい。畑にまいた場合は、そのまま育てるとよい。この花は一度栽培すると周りに種がこぼれて苗が自然に育つことが多い。

植える場所は日当たりを好むので、日当たりのよい場所に植えるとよい。風で倒れることがあるので、風当たりの少ない方がよい。

肥料分の多い、肥えた土に植えると大きく育つが、小石混じりのやせた土地でもそれなりに育つので、土は特別に選ばなくてもよい。

株を多くまとめて植えると見栄えがする。成育中、肥料はやらなくてもよい。


(13)クリンソウ

原産地 北海道 本州

初夏に紅紫色の目立つ花が咲く多年草で、寒さに強い。日本に野生するサクラソウのなかでは一番大きな花である。

育て方

とにかく丈夫な花で、乾燥しすぎる土とか日当たりの良すぎる所でなければどこでもよく育つ。一度植えると自然に種がこぼれて苗ができ、花を咲かせてどんどん増える。

5株、10株もまとめて植えると見栄えする。植え替えは春の芽の出た頃がよい。

肥料もやらなくてよい。花畑の縁取り用として利用できる。


(14)モスフロックス(シバザクラ)

原産地 北アメリカ

傾斜地に大規模に育てると見事な花畑になる。東藻琴が有名である。管理はなんといっても雑草取りである。雑草が入り込むとやがてシバザクラが消えてしまう。

育て方

強い花で、やせた土でもよく育ち、寒さにも強い。

日当たりと水はけのよい場所がよく、湿気は嫌うようである。

増やし方は株分けでするか、春5月下旬頃古い株を適当に切って、根がなくてもいいから茎の1/3〜1/2位を埋め込んで土を乾かさないようにしておけば1か月位で根が出て花が咲く。肥料は油粕と骨粉を半々に混ぜたものを追肥として2回ほど生育時に与えるとよい。




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