(15)ペチュニア

原産地 南米アメリカ・アルゼンチン

春まき秋まきの寒さに強い多年草といわれているが、標津のように寒い地方では春に苗づくりをして花畑・プランター・鉢などに植えて花を咲かせる。霜が降ると枯れてしまうので1年草として栽培する。

見栄えのする花で花畑・プランター・鉢などでよく育ち、いい花を咲かせてくれる。花が咲く期間も長く、苗を早く育てると6月下旬から秋に霜がふるまで咲いてくれる。標津でも派手に咲く花の一つであり、作り方も難しくないのでぜひ作りたい花である。

最近サフェニアという花が販売されているが、この花はペチュニアの改良種である。

育て方


苗を育て、花の咲き始めに花畑やプランター、鉢などに本植すればよい。

苗づくりは温室があれば3月下旬〜4月上旬頃に発泡スチロールの箱に下半分に火山灰を入れ、その上に腐葉土を入れて種まきをするとよい。腐葉土がない場合は畑の土でもよいが、畑の土は水はけが悪いので火山灰の小さな粒(小豆粒程度)か川砂を混ぜて水はけをよくして使う。

種まきの時期には土が凍っているので、秋のうちに準備しておくことが大切である。

ペチュニアの種は小さいので種まきの後土をかけなくても良い。できれば薄くまいて、その後板で押さえ、水は上からかけないで箱の底から吸わせるようにする。

 図 


種をまいても土をかけないので上から水をかけると種が流され、低いところに集まってしまうので、上からはかけないようにする。

芽は小さいから、本葉5〜6枚にならないと移植は難しいので、それまで育つのを待った方がよい。移植は2回の方がいいが、1回でもよい。このときはビニールポットに移植したものは花畑に植え、プランターや鉢で育てるときは直接プランター・鉢に植えてもよい。この場合、苗と苗の間隔を15p程離して植えるようにしないと苗が大きくなったときに間が狭すぎて混んでしまい、ヒョロヒョロとして弱々しくなる。広すぎると空間がありすぎて見栄えがしない。ビニールポットに移植するとき、上は腐葉土がよいが水はけをよくした畑の土でもよい。水はけをよくするためには火山灰の小さい粒を混ぜる必要がある。

 図 


バーク堆肥(牛糞とオガクズを混ぜて醗酵させたもの)を土の替わりに使ってもいい結果が出るが、完全に腐ったバーク堆肥でないと苗の根に悪影響が出るので気を付けなければならない。

苗づくりにも肥料が必要である。苗を移植して伸び始めたら液肥(ハイポネックスの1000倍液)を1週間に1回程与えるか、配合肥料(窒素5、リン酸5、カリ5と袋に印刷されている配合肥料)か油粕と骨粉を混ぜたものを苗を植えたビニールポット1つに大さじ1杯程入れてやるとよく育つ。プランターや鉢に植えた苗も同じように肥料を与えるが、花を咲かせるためにはどうしても小さく、肥料や水も少ないのでそれらを多く与える必要がある。したがって、プランターや鉢には1か月に1回は配合肥料か油粕と骨粉を半々に混ぜた肥料を1本の苗に大さじ1〜2杯程入れるとよいが、配合肥料、油粕、骨粉ではカリ分が不足するので、化学肥料の硫酸カリ・塩化カリを油粕や配合肥料に混ぜて使うとよい。しかし、木灰・ワラの灰・枯れ草の灰などを使うのが最もよい。プランターや鉢などに苗を植えたらビニールハウスで育て、花が咲き始めたら外に出すようにする。
 



ビニールハウスで苗づくりをする場合、土が解けないとできないので5月中旬頃になる。この時期から種をまいて苗づくりを始めると、どうしても花の時期が遅れ咲くのは7月中旬頃になるのではないだろうか。

少しの苗を作る場合は家の中でもよいが、日光を十分に当てないと弱々しい苗になりいい花が咲かないので、日の当たる場所で育てることが大切である。


(16)カスミソウ

原産地 コーカサス地方

切り花、花畑用に使われる秋まきの2年草だが寒い標津では1年草として栽培する。寒さに強い宿根カスミソウもある。

真っ白、紅色の小さな花がたくさん咲く。草丈は30〜40p程になる。

育て方

1年草として栽培するので4月上旬〜中旬に室内、温室などで芽を出させ、本葉2〜3枚のころビニールポットかプランターに移して苗づくりをする。6月中旬〜6月下旬頃本葉5〜6枚になった頃花畑に植えるとよい。花畑に直接種をまいてもよいが、発芽温度は15度〜20度Cなので春の寒い標津では発芽が遅れ、いい花が咲かない年が多いと思う。

植える場所は、日当たりの良いところがよく、風当たりも弱いところがよい。倒れることがあるからである。

土は特に選ばないが、湿った土よりも乾きやすい土の方がよい。標津の土のように火山灰の土がよいわけである。

育つ間は肥料分を欲しがる花なので堆肥を元肥に入れ、育つ間は窒素肥料を多く入れると弱々しくなるので、リン酸、カリ肥料を追肥として与えるとよい。油粕を与えるときは骨粉を多く混ぜて追肥として与えるとがっしりした姿で育ち、花数も多くなる。


(17)カッコウアザミ(アゲラタム)

原産地 南アフリカ

紫、青、桃色などの小さな花が群がって咲く1年草。花畑、プランターに向く花の一つであるが、花畑の縁取りによい花である。草丈15p程であるが、切り花用として30〜50pになるものもある。

寒さに弱い花なので、寒いとしにはいい花を望めない。
 
育て方

花畑に直接種をまいたのでは花は望めないので、苗づくりをして育てなければならない。種を4月下旬頃鉢か箱などにまく。種が小さいので、種をまいた後土をかけなくても良い。水は鉢や箱の下から吸わせ上からはかけない。室内の窓側に置くと10日程で芽を出す。芽が出て本葉が出始めた頃1500倍の液肥をやるとよく育つ。本葉3〜4枚になったらビニールポットか箱などに移植し、そのまま育てる。

寒さに弱い花なので、気温が上がるのを待って花畑に植える。プランターで育てるときは、移植の後プランターに植えて気温が上がってから外で育てるとよい。

花畑に植えるときは日当たりのよく、風当たりの少ない場所がよい。

土は水はけのよい土がよい。水はけが悪いと根が傷んで育たなくなる。

草丈が低く花が密生しているので強い雨が降った後など土がはね返って葉が汚れて病気になってしまうことがある。地表に草などを敷いておくとよい。

育っている間は油粕、骨粉を根元に入れてやるとよく育ち、いい花が咲く。風通しが悪いと花が傷む。


(18)ニチニチソウ

原産地 熱帯アメリカ

茎の頂上に上を向いて咲く寒さに弱い多年草だが、北海道では1年草として栽培している。花畑用、鉢植え、プランターなどで育て花を咲かせてもよい。切り花にもなるが、標津では切り花になるほど大きくは育たない。花色は白・紅・桃などがある。
 
育て方
 
熱帯性の花なので種は早くまかない方がよい。芽が出る温度も20〜25度Cと高い。標津では花畑に直接まいても花は望めないので苗づくりをするが、移植はあまり好まないので、小さい苗の時にする。室内か温室で種をまき、本葉2〜3枚で鉢やプランターに移植する。花畑に植える場合は、ビニールポットに植え、少し大きくなり蕾が出た頃に植えるようにする。6月下旬頃気温が高くなってからがよい。苗づくりの時はハイポネックスなどの1000倍液を与えるとよく育つ。鉢やプランターに植えたときは花の咲く頃追肥をやらないようにする。花畑に植えたときも追肥をやらないで、がっちりと育てるとよい。標津では、寒い年いい花は望めない。

土は特に選ばないが水はけのよい土がよい。乾燥には弱い花である。

植える場所は、日当たりと高温を好むので風当たりの少ない日溜まりがよい。半日陰では花つきが悪い。

プランターや鉢植えにしたときは、秋寒くならないうちに家の中の日当たりのよい場所に置くと、いつまでも花が咲いている。上手に育てると2〜3年咲き続ける。


(19)ヒャクニチソウ

原産地 メキシコ

切り花、花畑によい。特に切り花にすると水揚げがよく長持ちする。

わい性(あまり大きくならない性質)と高性(大きくなる性質)とがあり、切り花用は高性、花畑にはわい性がよい。春まきの1年草である。

育て方

高温を好む花で寒さに弱いようなので、苗づくりをして育てなければならない。苗づくりは普通でよいが、あまり早く苗を作っても外気温が上がらないと花畑に植えられないので、5月中旬頃室内か温室で、箱か鉢に種をまく。本葉4〜5枚になったら花畑に植えればよいが、できれば気温が上がる6月中旬頃に植えるようにしたい。植えてからの気温が低いと苗の育ちが一時止まるが、気温が上がるとアサガオと同様にどんどん育つ。

土は特に選ばないが、標津の土のように酸性の強い土には向かない。石灰を入れ酸性を弱めておく必要がある。

肥料は多い方がよく育つので、堆肥を入れる。花畑に植えてから10日程で追肥として油粕、骨粉、配合肥料などを入れると生育もよく花つきもよい。

花色、形は多様で変化に富んでいる。

標津では、寒い年にいい花は望めない

(20)ホウセンカ

原産地 インド

花畑用で春まきの一年草である。大きい茎がまっすぐ伸び、葉の付け根にかくれるように花が咲くのであまり目立たない。昔は家の庭に多く作られていたが、今はあまり見かけない。

育て方

発芽温度は25度Cと高いので気温が低いと芽の出が悪い。6月下旬頃花畑に直接まいても時期的には遅れるが花は咲く。

苗づくりをして育てる場合は5月中旬〜下旬頃室内、温室、ビニールハウスで苗づくりをするとよい。苗が大きくなってからの移植には弱いので、本葉2〜3まいのときにビニールポットに移植し、ときどきハイポネックスの液肥を与えながら育てる。本葉10枚くらいの頃、蕾の出はじめに花畑に苗の土をなるべく落とさないようにして植えるとよい。鉢やプランターなどの容器で育てるときは直接容器に植えるとよい。

植える場所は日当たり、風通しのよい場所がよい。半日陰でも育つが、花つき花色は悪い。

土はさらさらした火山灰土がよい。しかし、よく肥えた有機質の多い土でもよい。湿地には向かない。どちらかといえば乾いた土の方がよい。

花に雨水がかかると傷みやすく、長雨の場合は花が腐ることがある。

密生させて植えるのではなく、30pほど離して植えると枝もたくさん出て花つきもよい。

病気にかかることもあるが風通しのよい日なたでは心配ない。


(21)マツバボタン

原産地 ブラジル

高温の方がよく育つが、標津でも十分に花を楽しむことができる。春まき1年草である。8月になると花がどんどん咲き、見事になる。9月になって気温が下がると、株が急に弱り花つきも悪くなる。

短い松の葉に似た肉の厚い葉。茎からどんどん枝が出てふえていく。花は八重と一重があり、色も多いが青系の花は咲かない。

 育て方

性質は強い。春まき花壇用の花で、発芽温度は25度Cと高い。種をまいてから土を乾燥させないようにすれば温度が低くても芽が出る。種が小さいのでまいた後細かい土をほんの少しぱらぱらとかけるか、土をかけないでそのままにしておくかである。土の表面は平らにしておかないと、水をかけたとき、雨が降ったときに種が流れてしまうので注意する。

生育の早い花なので、直接花畑にまいてもいいが、発芽温度が高いので6月上旬〜中旬になって気温が上がってからまくとよい。鉢や箱にまいて苗づくりをする場合は、ビニールポットで苗を育て、大きくしてから畑に植えるようにする。苗が小さいうちに移植すると育ちが悪いからである。

容器で育てる場合も花畑で育てる場合も日当たりが良く少々乾燥する場所がよく、湿気のあるところではよく育たない。

追肥として油粕、骨粉を当てるとよく育ち、よい花を咲かせてくれる。

マツバボタンは、別名ツメキリソウといっている。これは枝の先端を3p位切り、花畑に挿しておくと10日ほどで根が出てよく育ち、花を咲かせてくれるからである。

標津でも花は咲くが、花畑では特別目立つ花ではない。鉢やプランターで育てるのも一つの方法である。


(22)アリッサム
 
原産地 地中海沿岸地方
 
枝の先端に小さな花が群がって株全体を覆う多年草だが、普通は秋か春にまく1年草としている。標津では秋にまくと冬に枯れてしまうので、春にまいて育てるようにする。花の咲く期間も長く、鉢やプランターなどの容器でも花畑でも育てることができる。

育て方

早く花を咲かせたいときは、温室、ビニールハウスで苗づくりをして移植すればよい。発芽温度は10〜15度Cと低く、温度が高いと芽の出が悪いので標津の花畑でも十分芽が出る。

日当たりと風通しのよい場所が理想的であるが、半日陰でもよく育ち花を咲かせてくれる。

プランターや鉢などの容器に植えて玄関前とか道路の縁におくと丈夫に育ち、花つきもよい。

根が浅いので、あまり乾燥しても良くないし、だからといって水はけが悪いと根の張りが悪くなる。

肥料は、育っている間はプラントフットなどの液肥を7〜10日に1回やるようにするとよい。花が終わったら枝を切っておくと、また枝が出て長い間花を咲かせてくれる。


(23)スイートピー   マメ科

原産地 地中海シシリー島
 
細くて長い花茎の先に2〜3輪咲く。つる性で1.5m程にもなり支柱を立て枝を巻き付けて低く育つようにする。支柱を立てないと倒れてしまう。切り花用として利用される。目立つ花ではない。

育て方

品種がいろいろあるが、寒し標津では早生種を選んで育てた方がよい。苗づくりをして育てるのもよいが、移植に弱いので花畑に直節まいた方が安心である。種が堅いので一晩水につけてからまいた方が早く芽を出す。発芽温度は15〜20度Cなので気温が上がる6月上旬〜中旬にまくとよい。

日当たりと風通しのよい場所がよく、高温に弱いが標津では高温の心配はない。

水はけのよい砂地の土がよいが火山灰土でも十分に育つ。酸性の土には弱い。

肥料は堆肥を入れるとよいが、追肥として油粕、骨粉を与えるようにする。リン酸、カリを多く与えるといい花が咲くので油粕は少しでよい。

花が咲き終わったらすぐ摘み取ると、種が付かず長く咲いてくれる。花を早く咲かせるときは苗づくりをする。5月中旬〜下旬室内、温室、ビニールハウスの中で大きめのビニールポットに種をまき、芽が出たら油粕、骨粉を入れて苗を育てる。6月中旬頃畑に植えるが、移植に弱いので、苗の土を落とさないように植えることが大切である。

芽が出た当初よく枯れることがあるので、少々多めに種をまくとよい。多めに種をまいたが芽が枯れないで育ったときはごちゃごちゃになってしまうので、間引きして7p程の間に1本育てるようにする。畝の幅は50pはほしい。



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