1.名称 標津町民祭り・水・キラリ ウラップ伝説
2.内容
ウラップ伝説

 昔々、標津地方に開拓者が入植し、大変苦労しておりました。

 その中に、標太(ひょうた)と津々(つづ)という仲のよい男女の若者がおりました。二人は村でも評判の働き者でした。村の暮らしは不漁・不作続きで、それは貧しいものでした。標太は仲間と海に漁に出ましたが、魚も少なく、海は荒れて、何も獲れずがっかりして帰る日が多くありました。

 一方、津々や村の人たちは、汗水垂らして開墾に精を出しましたが、日照り続きで土地は痩せ、せっかく育てた牛や馬も痩せこけ、その挙げ句、熊に襲われる始末でした。野や山にも食べ物がなく、熊も飢えていたのです。

 そんなある日の事、標太が網にかかった物を揚げてみると褐色の石のような化石でした。珍しいものが挙がったものだと標太は大事に家に持って帰りました。ちょうど同じころ津々は荒れ地を耕しているとクワに引っ掛かる物があり、何だろうと掘り起こしてみると、固い化石のような物が掘り出され、家に持ち帰りました。二人が持ち寄った化石を合わせてみると何とピッタリ合わさって一匹の鮭の化石になったのです。不思議なこともあるものだと二人はきれいに磨いてその化石を祀りました。

 その夜、標太と津々は不思議な夢を見ました。化石の鮭が甦りこう言ったのです。「私の生まれたウラップ川の源流に連れて行ってください。そうすれば、きっと良いことが起きるでしょう。」

 次の朝、目覚めた二人は同じ夢を見たことにびっくりして鮭の化石を大事に運んでウラップ川の源流に祠を建てて丁重にお祀りしました。

 その夜、雨が降り出しました。雨は三日三晩降り続き、渇ききった大地の隅々まで水は染み込み、そして、その恵みの水は標津中の川に流れ込み、川から海へとどんどん流れていきました。荒れた大地はみごとに息をふきかえし、野山には花が咲き乱れ、小鳥がさえずり豊かな緑の大地となりました。家畜は肥え、農作物は豊かに実り、山菜や木の実もたくさん採れるようになりました。標津の川という川には鮭がどんどん上がってきて海の漁も大漁になりました。

 村人達は大変喜び、ウラップの祠にお礼参りに行こうと標太と津々を連れ立って出かけました。ウラップ川の祠に近づいたころ、大きな二頭の熊が現れました。憎き熊めと標太が銃をかまえましたが、津々が思わずその手をおさえました。なんと二頭の熊は鮭の化石を祀っている祠を守っているのでした。

 それからというもの村人達は、祠の番人の二頭の熊とウラップ川の源流がもたらす豊穣な大地と海に感謝し、年に一度、源流の祠に農産物や、海産物を供え、村中にウラップ川の源流の水を振る舞う「お祭り」をするようになりました。


ウラップ伝説 朗読

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