1.和名 カマイルカ
2.科目 鯨目ハクジラ亜目マイルカ科に属する海生哺乳動物
3.学名
Lagenorhynchus obliquidens
4.地方名
 
5.アイヌ語名  
6.英名  
7.ロシア名  
8形態・生態
特徴: 体長2m前後。体のほぼ中央に、大きな、湾曲した背びれがあり、その色合いと形状が「 鎌」を連想させることからこの名が付いた。特に大人のオスの背びれはがっしりとし、 湾曲も大きい。腹側は黒色の細い境界線を経て真っ白で、背面は黒褐色、体側面には淡 灰色と黒褐色の模様があり、灰色の斑紋の濃淡や色あいには個体差がある。短く、黒い 「クチバシ」がある。

ふつう、群れで行動し、時には数百から千頭を超す大群を形成することがあるらしい。 船首波や船尾波に乗ることがあり、舷側を並行遊泳することもある。
カマイルカ
写真:カマイルカ (著作:佐藤晴子)

生息地: 北太平洋の固有種。

その他: 根室海峡の日本側での最近の観察では、本種は海峡の全域に、少なくとも6月-10月に現 われるが、多い時期は7-9月上旬であろう。100-300頭ほどの大きな群れを作ることもあ るが、それは少なく、むしろ数頭から50頭程度の範囲の群れが散在することが多いよう だ。より多くの個体が観察されるのは、活発に活動するカモメの仲間を主とした海鳥の 群れの付近や、「移動」や「休息」の時のようである。確証はないが、印象として、海 峡の北部から現われるようだ。

模様が美しく、群れでの行動がたくみで、飼育環境に適応するためか、水族館での飼育 種として普及している鯨種のひとつである。

鳴音の特徴: カマイルカの声も、音響探索に用いられています。ネズミイルカと同様に、とても高いため、再生速度を遅くしてみます。ネズミイルカとは、音質が違うことがわかるでしょうか。カマイルカのほうが低めで、少しこもった声です。こうした違いは、カマイルカの属するマイルカ科と、ネズミイルカ科の種類の間に見られる特徴ですが、その理由は、いまもって不明です。
・カマイルカの声
・録音:静岡県 伊豆三津シーパラダイス
・時期:1997年8月
・協力:伊豆三津シーパラダイス、水産工学研究所

9.利用

10.メッセージ
根室海峡におけるカマイルカの群れ構成や行動範囲については、わからないことだらけ です。しかし、特に真夏に比較的安定した出現が期待できますので、生態を研究するに は適当なフィールドのひとつだと思います。

11.写真・図版
カマイルカ
図:カマイルカ (著作:佐藤晴子)


12.参考図書 アンソニー・マーティン(編著)、粕谷俊雄(監訳). 1991.「クジラ・イルカ大図鑑」.平凡社.
笠松不二男、宮下富夫. 1991. 「鯨とイルカのフィールドガイド」. 東京大学出版会.
加藤秀弘(監修). 1996. 「わくわくウオッチング図鑑9 クジラ・イルカ」. 学習研究社.
佐藤晴子. 1998.「最近、根室海峡に出現する鯨類について」(未発表資料)
13.著者 筆者名: 佐藤晴子、鳴音について: 赤松友成(水産庁水産工学研究所技官)
連絡先: 東京都千代田区九段南2-5-9-502
電子メール: DZF14072@nifty.ne.jp
執筆日: 1999/10/10.

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