1.和名 | ニジマス(虹鱒) |
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2.科目 | |
3.学名 | Oncorhynchus mykiss |
4.地方名 | |
5.アイヌ語名 | |
6.英名 | STEELHEAD TROUT, RAIBOW TROUT |
7.ロシア名 | |
8形態・生態 | |
ニジマスにはたくさんの名前があります。スチールヘッド・トラウト(降海型、英語:
直訳すると鉄頭鱒)、サーモン・トラウト(降海型、英語:直訳すると鮭鱒)、カムループ ス・トラウト(降湖型、英語)、ドナルドソン(アメリカのドナルドソン博士が改良した
品種)、テツ(降海型、日本語)などです。 根室海峡では釣り人がスチール、漁業者がテツと呼んでいる降海型のニジマスが捕れます。ただし、他の魚と一緒に市場に並んでも「なんていう魚だろう」と迷う人が出るくら
いまれにしか捕れません。 時期は8月下旬から10月上旬の間です。体の大きな魚ばかり で、体長は90〜70センチくらいです。海で捕れたものの体の色は銀白色で、ニジマス のトレードマークともいうべき体の側面にあるはずの虹色の帯は見えません(写真1)。 陸封型のニジマス(写真2)を見馴れた人には同じ種類とは思えない色合いです。 しかし、じっくり観察すると「体の大きさの割に頭が小さい(5.5頭身くらい、他の サケ科の魚は4.5〜5.0頭身くらい)」、「尾びれの真ん中のくぼみが浅い」、「尾びれ の付け根が太い」、「尾びれ全体に小さな黒い点がある」「尻びれの形が三角形」など体色 以外はニジマスの特徴が明らかです。 現在、ニジマスは標津川をはじめ北海道各地の川に普通にいる魚です。釣れたときの引 きが強い魚ですので釣り人には人気があります。しかしながら、もともと自然分布で北海道の川にいた魚ではない外来種です。原産地は、カムチャッカ半島および北アメリカの太平洋側です。日本にいるものはアメリカから卵で輸入されたものが放流されたり、養殖場 から逃げ出したりして居着いたものです。 ニジマスは、海で生活する降海型、湖沼で生活する降湖型、川だけで生活する陸封型の 三つの生活型に分かれます。降海型は、体長20センチくらいで銀毛になり海へ出ます。 そして、2〜3年後に産卵のため生まれた川に戻ります。産卵後に全員が死んでしまうシロザケとは異なり、生き残って翌年再び産卵する個体がいることはよく知られていること です。 25年くらい前、網走管内の止別川(やんべつがわ)の下流域で捕獲した銀毛ニジマス に標識をつけて放流したところ、10キロほど離れた斜里前浜の定置網で再捕獲できたこ とがあります。降海型のニジマスが北海道の川にもいます。ただし、今だに海でたくさん のニジマスが捕れるとの話は聞いたことがありませんので、どうやら降海型は少ないよう です。 根室海峡で捕れるニジマスが北海道産のものなのか、本来の生息域であるカムチャッカ 半島や北アメリカから回遊してきたものなのかは今だに謎です。 ちなみに、ニジマスは病気に対する抵抗力があり、丈夫です。そして、短期間で大きく なるという特性がありますので養殖に非常に適した魚です。食料資源として日本はもとよ り世界各地で活用されています。海中養殖したものがチリなどから輸入されスーパーなど でトラウトサーモン(直訳すると鱒鮭)という名前で売られています。切り身ではなく一 本もので売られている場合は、鰭(特に背びれや胸びれ)に注目してみてください。すり 切れた部分があったら養殖もの、すれた部分がないきれいな鰭なら天然ものの可能性大で す。天然ものの味がいかなるものかチャンスがあったら試されるのも楽しいでしょう。 |
9.利用 | |
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10.メッセージ | |
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11.写真・図版 | |
![]() 写真1 1997年8月25日に根室海峡で漁獲された降海型ニジマス。体長77センチ、 体重6.1キロ。この写真の魚は6.5頭身になっていますが、レンズを通してみている ため歪みが生じています。 写真2 ニジマス(飼育魚)。背びれの形がすれたため歪んでいる。 産卵期は冬から春までと長期にわたります。ですが、四、五月に産卵するイトウ以外は 産卵場所を巡って競合する種類はいないといっていいでしょう。一番早い産卵は、私が忠 類小学校の池で十一月末に見た例だと思います。サーモン科学館で飼育しているものは十 ニ月から一月に完熟します。屈斜路湖周辺では五月の連休の頃、自然産卵しているとのこ とです。 |
12.参考図書 | |
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13.著者 | 筆者名 : 小宮山 英重 連絡先 : 標津サーモン科学館 電子メール : 執筆日 : |
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