1.和名 マスノスケ(鱒之介)
2.科目
3.学名 Oncorhynchus tshawytscha
4.地方名
5.アイヌ語名
6.英名 CHINOOK SALMON, KING SALMON
7.ロシア名
8形態・生態
根室海峡では春から夏(5月〜8月上旬)と秋から冬(9月から2月)の時期に漁獲されます。 セリを行う魚市場では、短く「スケ」と呼ばれている魚です。スケという言葉には、昔(律令制度 を実施していた時代)、地方で一番偉い位であった次官(長官の次の位。長官は都に住んでいたと 考えられる)の意味があります。マスノスケは、多分、鱒の王様と言う意味なのでしょう。英語で は鮭の王様を意味するキングサーモンが使われています。日本語、英語共に体の大きな魚に敬意を 表して名前がつけられているのが分かります。ただし、今の日本では「マスノスケ」と言っても何 の事か分からない場合があるようです。どうやらスーパーマーケットでおなじみの「キングサーモ ン」の方が日本語名として定着しつつあるということでしょうか。

マスノスケは、別名オオスケとかクチグロとも呼ばれます。クチグロという呼び名はマスノスケ の下顎や顔の黒さを言い表した呼び名です。ただし、北海道ではサクラマスの事をクチグロと呼ぶ地域が多いので、この呼び名を使う場合は要注意です(実体は、サクラマスは口だけが黒い、マス ノスケは顔も口も黒い状態)。

春から夏の時期に根室海峡で捕れるマスノスケの大きさ(体長と体重)と年齢を図に示しました。 平均体長72センチ、平均体重は5キロ。捕れた魚の8割以上が4年魚でした。カナダの親のマス ノスケの平均体長は90センチとの事ですので、根室海峡で捕れるものの大半は親になる前の若い 個体と言えそうです。また、年齢構成は標津のシロザケと同じような4年魚から6年魚が獲れてい ます。ところが、マスノスケは、川で1年(またはそれ以上)過ごしてから海での生活にはいりますので、シロザケよりも海での生活が一年短かいという特徴があります。それにもかかわらず、シ ロザケと同じ年齢のもの同士の大きさを比べますとマスノスケの方がはるかに大きいという結果で した。この様な効率よく成長する能力がある事がマスノスケのおいしさの秘密なのかも知れません。

なお、北海道を含めた日本にはマスノスケが産卵でき、稚魚が育つ環境である母なる川がありません。マスノスケの母川となる環境として氷河で削られた地形であるフィヨルドと大きな川が一緒 にある事が重要な要素として知られています。日本に一番近い場所でその条件を満たしている場所 がたくさんあるのはカムチャッカ半島です。根室海峡で漁獲されるマスノスケは遠くカムチャッカ から泳いできて、私たちの目の前の海で育ち、親になる年にカムチャッカを目指して帰るそんな魚 たちなのかも知れないのです。標津の前浜で捕れたマスノスケを味わう時は、ぜひ目の前に広がる 海の豊かさも思い出してください。

【沿岸で捕れたマスノスケの見分け方】
顔が黒い(特に口の周辺)。尾ビレの大部分は銀白色の状 態で、かつ黒点が散在している(尾ビレの後ろ端は黒い。黒点がほとんど見えない個体もいる)。 成熟するオスは、鼻先が少し長い。通常は、外観からオスとメスの区別は難しい。脂がのったマス ノスケの身は、筋肉と筋肉の間が白い(脂肪がある)のが特徴。
9.利用

10.メッセージ

11.写真・図版

12.参考図書
13.著者 筆者名 : 小宮山 英重
連絡先 : 標津サーモン科学館
電子メール : 
執筆日 :
標津町百科事典 / 博物誌 / 動物 / サケ・マスの生態 / マスノスケ /
標津町 (c) copyrights 2000, Town of Shibetu. All rights reserved.