| 1.名称 | 流氷 |
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| 2.内容 | |
| 海水が凍ってできた氷を“海氷”という。海氷のうちで、岸や浅瀬に凍り付いて動かないものを“定着氷”といい、岸から離れて流れ動いているものを“流氷”という。
北海道沖では、海氷すなわち流氷と思っても、大きな間違いではない。 オホーツク海で最初に凍結するのは、北緯55度線上の西の端にあたるシャンタル島周辺およびそこから北東にのびる海岸沿いで、早い年には11月初旬に結氷する。この海域では、アムール川と付近の湾に注ぎ込む川水のために、表面の海水の塩分が薄く、オホーツク海の二重構造(水深25〜50メートルで水温・塩分が急激に変化する)が極めて顕著である。そのうえシベリアからの寒気が直撃するところである。 海が凍るときには、池の氷のような、一枚板の氷が初めからできるのではない。まず、小さな氷の結晶(氷晶)が、海の表面にも海の中にも無数にできる。氷晶は成長し、ときには20から30cmの大きさに成長することがある。氷晶は互いにぶつかり合い、氷晶の厚さも1〜2cmになると、氷晶の集まりの粘っこさのため、さざ波は消え、海の表面はゆっくりした動きの波だけが残るようになる。そうした波の中でゆれ動く間に互いにぶつかり合って、ふちが少しまくれ上がった丸い形になる。この氷を“蓮葉氷”という。氷といってもそれは氷晶の集合体であって、指で押すと穴があくほど、まだやわらかい。さらに氷晶は増え続け厚さを増すと、粘っこさも増し、さらに波がおさまって、前よりも波長の長いゆったりとした波長の波だけが残るようになる。ついには、波が全くなくなり厚さ数センチの蓮葉氷の浮かんだ静かな海が残る。蓮葉氷の大きさは直径30センチ以上に達することがある。波が静まると、あとは池の氷が凍るのと全く同じで、やがて固い氷板ができ上がる。 シャンタル島付近で始まった結氷は、東に拡大し、12月初めにはサハリン島北部の東海岸まで達する。その後氷域はサハリン島東に沿って南に伸びるとともに、オホーツク海中央部に拡張し、1月初旬にはサハリン島南端に達する。北海道沿岸へ流れてくるのは、1月中旬から下旬にかけてである。 |
| 3.写真・図版 |
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| 4.参考図書 | 海洋観測指針(気象庁編)(発行所:日本気象協会) 流氷(田畑忠司著、北海道新聞社) |
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| 5.著者 | 筆者名 : 神野 英彦 連絡先 : 根室北部地区水産技術普及指導所 電子メール : 執筆日 : 2000/01/28 |
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