1.名称 | 深層水 |
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2.内容 |
正確には海洋深層水と言う。 深層水は植物の成長に必要な太陽の光が届かない水深 200m以深の海水を対象としている。試算では地球の海水の95%がこれに該当する。こ こでは光が届かないので光合成は行われず表層から落下してきた有機物の分解が進む。 表層では太陽の熱や気温・風により水温変化が大きいが、深層水は水温変化が小さく低 温となる。また、沈降有機物は微生物により分解され無機化され安定した養分が貯めら れる。そして、有機物がないので、これを栄養分とするバクテリアや有害な病原菌など は生きていけずいなくなる。いわゆる海の自然浄化作用と言え、深層水の水質は微生物 学的にも物理・科学的にも安定した清浄水となる訳である。 深層水の特徴 1富栄養特性 ・植物の生長に必要な無機栄養塩類、特に燐酸塩、硝酸塩、珪酸塩に富んでいる。 ・地球上の総ての元素を含み、その組成比がほぼ一定である。 2清浄特性 ・水質を悪化させる有機物濃度が低く、微生物学的に安定している。 ・疾病の原因となる病原菌や細菌類、寄生虫などが少ない。 ・環境ホルモンなど有害な人工汚染の影響が少ない。 3低水温特性 ・周年水温が低い 4安定特性 ・水質の変動が小さい。。 利用 清浄性は水産生物の飼育培養水として、富栄養性は微細藻類や海藻の肥料とし て、低水温性はエアコンや水温制御など冷媒としての活用が可能である。この他塩、酒 ・味噌・醤油・ゼリー・ジュースなどの食品、化粧品など安全な機能性を持った製品開 発が活発に行われている。 標津では海が浅いため深層水は存在しないが、隣接する羅臼 では海が深いため深層水の存在が確認されているので、別項で述べる湧昇流として、わ き上がり流れ込む可能性は高い。羅臼では平成11年11月下旬に水深218mから深層水 を汲み上げる簡易取水施設を設置し、利用協議会を設け、加工処理水や塩製造など利用 開発に着手した。道内では積丹・奥尻海域で調査が始まっている。最も先進的なのは、 高知県・富山県である。今後、必ず物質・エネルギーの大型資源として注目をあびる。 |
3.写真・図版 |
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4.参考図書 | 中島敏光(2000):海洋深層水とは?.月刊「養殖」,1月号,蒲ホ書房,
臼杵睦夫(1999):小樽深層水の研究スタート.試験研究は今,北海道漁協系統通信 |
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5.著者 | 筆者名 : 中尾博己 連絡先 : 根室支庁 根室北部地区水産技術普及指導所 01538-2-3738 電子メール : 執筆日 : 2000/01/24 |
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